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2011年4月20日水曜日

司馬さん

司馬さんといえば、司馬遼太郎のことだが
読むきっかけになったのは本当に偶然の出会いからで
虻田町(現洞爺湖町)に住んでいたころ、歯医者に行って待合室で順番待ちをしていた
そこに「司馬遼太郎が語る日本~未公開講演録」ー朝日新聞社発行があり
手にとってパラパラっとめくってみると、これまた偶然に「坂本竜(龍)馬」についての収録があった

京都へ行ったら高台寺に行き、坂本竜(龍)馬と中岡慎太郎の墓参りをするぐらいのファンであるから当然だが、司馬さんの語り口が聞こえるような講演録で引き込まれた
(前置き長くてすみません)

その中の未公開講演録愛蔵版Ⅱで 陸上自衛隊幹部学校での講演
演題「ノモンハン事件に見た日本陸軍の落日」

ここでは情報の大切さを語っている かなりかいつまんで・・・というよりかなりはしょって

情報を英語で言うと「インフォメーション」
その他に「インテリジェンス」~知性
「ウィズダム」~知恵の3つで表現している

農耕民族の日本人はどうも情報というものに鈍感らしい
その点ユーラシア(ヨーロッパ+アジア)大陸の遊牧民は、越冬するにはどこがいいかという情報を集めなければ死活問題だ
だから、情報判断能力にすぐれた人がキャップに押し上げられる

この後の話で、ノルマンディー作戦の時の連合軍の情報収集の話

英国人の情報感覚、情報収集について

オランダ人がペリーが来る数年前、江戸幕府に「やがて米国が開国をせまるだろう」と上申したにもかかわらず、どうも隠ぺいされたらしいという事実

こんな恐ろしい情報が世間に漏れたら大変だ
世間は動揺し、江戸幕府も危ない 安寧と秩序のためにけっして漏らすまい
これが水田タイプの国のやり方

ロシアが日露戦争に負けて、帝政が崩壊し共産国家になった
日露戦争の敗戦を生かして、無邪気に力を追求した

反面、日本は兵器の開発には鈍感だったらしい 
世界の基準からすると相当古ぼけたものだった

終盤にノモンハン事件の話をしている

ノモンハン事件は、司馬さんが中学に通っている頃の事件で、この戦闘によって大敗したことは秘密でした 実に75%の死傷率 しかしこの大敗北は、口をぬぐっても国民には知らせなかった

日本の秘密というのは、日本の弱点を秘密にしていることです

日本軍の情報感覚とは要するに情報を隠すということだけだった

兵器に対する自信というのは、ヨーロッパでもアメリカでも軍隊において士気(モラール)に影響する  ところが日本陸軍においては、貧しい兵器であるがわれわれには大和魂があるという世にも不思議な教育が行われた

ノモンハンに参戦した陸軍大学校を出た須見大佐という方の話

陸軍大学校にも差別があって、成績トップは参謀本部の作戦科に進む。われわれみたいに特務機関になるのはビリなほう なんです。ビリの持ってくる情報は賢いはずがないとされ、つねに握りつぶされました

最後に、ノモンハンの総指揮官は第二十三師団の小松原道太郎中将の話

この人は以前、モスクワの駐在武官を務めた人でソ連陸軍の情報収集が当たり前の仕事

しかしながら、「ソ連は、スターリンの5ヵ年計画で別の国になっている」そういう情報をあげると参謀本部の評価はきわめて悪かった「あいつは恐ソ病にかかった」と情報がボツになり、昇進もマイナスだった
だから、小松原中将はそんな情報を送らなかった

結局、第二十三師団はノモンハンで完膚なきまで壊滅する

その中にあって、小松原中将の話
「もうこうなれば仕方ない。士気も戦争もあったものではない。しかしながら、日本の兵隊さんは強いと聞いているから何とかなるだろう」
プロの軍人が言っているんです  
どこからそんなインフォメーションを、インテリジェンスを得たのか 
情報という感覚において悲惨すぎる話だと思いませんか

ここまで情報感覚がずれている
今日は「情報」という話をしました    と結んだ



僕は思うのだが、そのあと何も反省せずに「銃剣・竹やりvsマシンガン」という構図で第二次世界大戦に突入したのだろう

今の時代に思うことは、政・官・財を含め既得権益を確保する姿、昇進して天下りをしている人物を見ていると日本人の感覚はまだまだ鈍感らしい

全うなことを言ったり、不正を正そうとした人たちの扱いは昔と変わらずである

何も情報の垂れ流しがいいと言っているわけではないが、優れた判断能力を持った人がトップに立たないと会社であれ国だあれ、将来が憂慮されるのである

これを書いていて、以前投稿した「野干」を思い出す
かなりはしょっているので、機会があれば全文を読んでほしいと思う

なお、講演録内容は多岐にわたっている

司馬さんがご存命なら今の日本をどう思うのだろうと・・・

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